「猫だましい」ハルノ宵子 著
著者ハルノ宵子さん(漫画家、作家、エッセイスト)のことは、この本を知るまで、作家吉本隆明さんの長女で妹が吉本ばななさんであることは知らなかったです。
推薦文によると「自身の一筋縄ではいかない闘病と、様々な生命の輝きと終わりを、等価にユーモラスに潔く綴る名エッセイ。」ということで、関心があって購入した。
「様々な生命」というのは<糖尿病で視力を失いながらも死ぬまで思索を続けた父>と<ワガママ放題をし‘セルフ尊厳死’を遂げた母>と<こよなく愛する猫(飼い猫と外猫)の輝く生命のことです。
自分自身は乳がん、大腿骨骨折、大腸がんを患いながらの親と猫の介護と看取りの出来事を、日々闘いながら綴っています。彼女のアルコール依存症についてもくったくなく書いています。
猫の命と人間の命とを同じ目線でとらえているところに学ぶところがありました。獣医さんと人間相手の医者とも同じ目線で捉えています。著者の医者に対する目線は厳しく、主治医のO竹先生にたいする彼女の信頼と愛情はゆるぎないものです。
知人に愛猫家や愛犬家が多くいて、家族より猫犬への愛情が強い気持ちが分かりにくかったのですが少し理解できました。