脳科学からみた「祈り」

脳科学からみた「祈り」中野信子著
脳科学者・中野信子が、「人間が感じる幸福感」を、脳科学から分析した本です。
人はいつ幸福と感じるのか?
脳科学では「ファンクショナルMRI(機能的磁気共鳴画像法)によって、脳内の動きをリアルタイムで観察出来る画期的新技術が登場しました。
「大人になったら脳細胞はもう増えず減る一方だ」と考えられてきた常識も覆され、成人後の脳神経新生についての研究がすすみ、私達は何歳になっても「脳を育てていける」ということが分かってきてきました。
そんな中で「人間は一人では幸せになりにくい」否「人間は一人では幸せになれない」ということが、証明されたのです。
愛情や慈しみの感情を抱いたときに脳から分泌された「オキシトシン」という神経物質が私達の幸福感にとっていかに大きな意味を持つかが分かってきたというのです。
東日本大震災、福島の原発事故にあい、中野信子は科学者として、人々の幸福のために貢献したいと強く思い、「本当に幸福な生き方はどのような生き方か?」を多くの人々にお伝えしたいとこの本を書かれました。
第一章 「脳に与える祈りの影響」
他者の幸せを祈ることも多い「祈り」について、脳科学的見地からから解説した本が日本では見当たらないということで、著者は大きく紙面を割いて解説しています。
・行動による祈りの違い
・体のバランスをよくする祈りとは
・「良い祈りを」を続けると良い方向に変わる
・脳を活性化する「愛情ホルモン」
・音韻分析から考えた「題目」
・祈りが強化する「展望的記憶」の力
・祈りこそ良薬—脳と免疫力の関係
・脳はすぐには変えられない—日々祈り続ける大切さ
・祈りは惰性になりやすい
第2章 脳科学から見た幸福な人、不幸な人
・幸福感を科学的に測るには?
・利他行動は、脳にとって「快感」でもある


エピローグ 逆境こそが脳を鍛える

私自身のこれまでの人生を振り返り、「幸福」「祈り」に己を重ね合わせて考えることが出来、実に興味深く読むことが出来ました。
第2章からは、脳を活性化させるかどうかで、人間は幸にも不幸にもなりうるのだと分かった。
エピローグの「逆境こそ脳を鍛える」ということからは、逆境が自分を成長させ幸せを導く体験となることを、昔から私も実感していたので、それは脳科学検知から見ても本当のことなのかと納得した。
癌を患ったこと、コロナ禍による恐れと不自由も、ピンチをチャンスとして頑張ろうと力を与えてくれた本でした。

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