深夜特急3 インド・ネパール編 沢木耕太郎著 新潮文庫
40年も前、沢木(現在71歳)が大学卒業し銀行に入社するもその日のうちに退社し放浪の旅に出たときの紀行文です。
旅の始まりの香港・マカオ(深夜特急1)から最終目的地の南ヨーロッパ、イギリスロンドン(深夜特急6)までのバックパッカーでのバス旅行記録です。
今回紹介する「深夜特急3」は、私が関わっているネパールでの紀行文が再発行されたというので読みました。
40年の前のことなのに、彼の旅行記に書かれていることは今も変わらず「そうそう、わかるわかる」と「今もおんなじよ」という気持ちでワクワクしながら読みました。
都市部はネパールもインドも近代的になっているかもしれませんが、彼が入り込んで生活した貧困家庭地域の様子は今も同じです。つい最近まで毎日停電があったし、携帯電話やスマホはないし、煮炊きは木の枝燃やしてかまどで作っていたし。
私はそんな地域で暮らす子どもたちやお母さんたちのお手伝いのような傍観者感覚で、年に一度そんな地域を訪問してきましたが(コロナ禍で2年間訪問停止)、彼は40年も前、地域の人々に同化し生活を共にして、それを楽しみ驚愕しそのことを淡々と日記をつけるように書き記していたのです。
私にはしたくてもとても出来ない彼の体験を、隣に座って一緒になって見ているおばさんの気持ちになって、大変興味深くドキドキして読みました。
沢木さんはその後、ノンフィクション作家、エッセイスト、小説家として頭角を現し数々の賞を得て現在に至っていますが、彼の作品の根底にあるのは、インドからロンドンまでの旅での経験だったろうと思われて、彼の作品にはどれも惹かれています。
大ファンです。
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