天に星 地に花 人に慈愛

「天に星 地に花 人に慈愛」 帚木蓬生 著

世界中に広がる新型コロナウイルス蔓延との戦いに、世界中の政治家、医療機関、企業、貧しき人・富める人・人種の差なく被っている民衆が、躍起になって生きる道を探っています。

巣ごもり状態の私にとっての情報は、テレビと新聞と数冊の本から学ぶだけです。なかでもじっくり学べるのは読書からです。

今回紹介する「天に星 地に花 人に慈愛」は江戸時代末期(1700年頃)の九州、久留米藩を舞台に藩主、大庄屋、農民、悪徳役人、又、悪政を是正しようとする藩主とその挫折、干ばつと飢餓などによる一揆、見せしめによる死罪等を背景に、事実に基づかれて書かれた長編小説です。

主人公は大庄屋を継げない次男の庄十郎が選んだ医師として成長しながら見据えた物語です。

庄十郎が幼い時父に連れられ藩主大石殿の家老稲次様を訪ねる時があり、床の間に掲げられた「天に星 地に花 人に慈悲」という掛け軸に目を惹かれます。意味を尋ねたところ、これは御典医小林鎮水殿から頂いたものとのこと。「(天に星 地に花)が満ちるように、祈るのが医師だ。ばってん、この祈りば形に出してしまうと、神主や祈祷師と同じになる。医師は、あくまで祈りば、心のうちに隠さにゃいかん」それでは「人というのには百姓も含まれとるでっしょか」と聞くと「天と地がどこの国でも同じように、人も百姓、侍、町人と色々あるが、慈愛に差があるとは思われん。人は人。皆同じ」という言葉を聞き胸に響いたのだった。そして庄十郎は後に小林鎮水の元で修行し医師になる。

人はみな歴史から学ばないといけないのに。

人類の歴史は、人間の支配欲と自然の驚異の狭間に巻き込まれることの繰り返し「いっちょん、変わらんげなあ(私が好きな九州弁)」と思い知らされました。

新型コロナウイルスの世界的拡散を防ごうと戦ってくださっている方たち、自国の利益しか考えない政治家を叱責し諭す方々、どうぞその声を発信し続けてください。

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