悲しみよ こんにちは

「悲しみよ こんにちは」フランソワーズ・サガン著 河野万里子訳

もう50年も前になると思うが、著者のサガンが19歳で処女小説「悲しみよ こんにちは」を発表、一躍フランス文壇の寵児となり、日本では朝吹登水子の翻訳でベストセラーになった。

主人公のセシルは17歳、14年前に母を亡くし、学校は女子校寄宿舎で過ごし素敵な父親とは上手く行って十分幸せな生活をしていた。

進学控えた休暇の1ヶ月、南仏海辺の素敵な別荘で父と過ごすことになりウキウキとしてその日を迎える。父親は次々愛人を作る遊び人ではあるが、セシルを一番に愛し家庭を崩壊することはしない。

驚いたことにそのバカンスに父の恋人エルザが同行することになった。

エルザはちょっと蓮っ葉で軽くいかがわしいと言える女ではあるが単純で見えを張るようでもない女。セシルはエルザのことを少し軽蔑し好きでもないが、母亡き後、面倒を見てくれる、母の友人の美人で賢明なアンヌが上流階級のしきたりや躾、教育を押し付けようとすることに反発を覚えていてエルザの方に惹かれるところもあった。

ところがそのアンヌも別荘にやってきて父と結婚を望んでいることを知ったのです。セシルの心が乱れる。そんな中ヨットを操る素敵な青年に一目惚れをする。

という進み具合のブルジョワ恋愛小説です。

若かった私もその小説を面白いと思って読んだはず。ヨーロッパの上流社会の人々の華麗で夢のような世界と思ったのかどうだか。映画化もされ観ました。セシルの可愛いこと!

セシルカットという髪型が大流行になりました。超ショートの髪型です。

 

去年私ががんを患ったことはカミングアウトしているからご存じの方もおられるでしょう。副作用で見事に脱毛していたのが7ヶ月ぶりに復活してきたのです。「あれッ!セシルカットの髪型だ」と思ったのです。

「悲しみよ こんにちは」ってどんな小説だったっけ?もう一度読んでみよう。と注文したわけです。

先日、白血病を患った水泳世界一選手だった池江璃花子さんが、自分の姿をありのままにとウイッグを外した素敵な写真を公開されました。「あ、私と同じだ!彼女は黒髪、私は白髪だけれど、、」

 

小説としてはみんなに読んでほしい本と勧めるほどの本ではありません。2,30代の若い世代の人なら私がそうであったように面白く読めるでしょう。最近の恋愛小説より深い問いかけが潜んでいます。

 

 

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