うから はらから

「うから はらから」阿川佐和子著 新潮文庫

<うから>は親族・同族 <はらから>は同胞・兄弟姉妹の意で両語とも、古くは万葉集に見られる和語である。

ということで、この小説は、バツイチで実家に帰ったアラフォーの未来(ミク)を主役に置き、彼女を取り囲む<うからはらから>が波乱を巻き起こす出来事を、未来が輪舞のように愉しく広げていく手法をとった素敵な長編ホームコメディー小説です。

未来が離婚をして実家に戻ると両親は離婚をしていて、母は家を出、残された父は若い子連れの茶髪の女と結婚。登場人物は数えていないけれど10人以上あると思うが、連れ子の超生意気な口をきく10歳の男の子から、母の母である上品な御前様と呼ばれる京都の施設で過ごすお祖母様まで。みんなお互いの生き方を批判しながらも悪気はなく理解し合える会話が絶妙!

どの出来事もありえないようでいながら、周りにはいっぱいいるいると感じさせられる楽しさ。

著者阿川佐和子さんは、文学賞もとった名小説家とは聞いていたけれど、「サワコの朝」の名インタビュアー「たけしのTVタックル」のたけしの名フォロワー、週刊誌の名エッセイストとして、ファンであったけれど小説を手にしたのは初めてでした。彼女の多才文才には驚きました。

タレントより先に小説家としてレビューしてもらいたかった。「うから はらから」もどうしてもタレント阿川佐和子が話しているように感じてしまうのが残念だった。

コロナ禍で鬱々していた蟄居生活にパッと明るい日差しと笑いを与えてくれた本でした。

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