償い

〔償い〕 矢口敦子 著 幻冬舎文庫
主人公の日高英介は優れた脳外科医だったが家庭をかりみず、3歳になる息子を手遅れからインフルエンザ脳症で亡くし、妻は悲しみを理解しない夫に絶望し自殺をしてしまう。
己の愚かさに気付かされた日高は医師を辞めホームレスになって町をさ迷う生活をはじめる。
流れ着いた郊外の町で、社会的弱者ばかりを狙う連続殺人事件に巻き込まれる。そこで12年前に自分が命を救った15歳の少年にめぐり会い言葉を交わすようになるが、少年が犯人ではないかと疑いはじめる。
少年は言う。「不幸な人間は死んだ方が幸せなんだよ。死ぬと不幸が終わるんだから。」驚いた日高は言う。「どんな人であっても、不幸のまっただ中で死ぬなんて、そんな悲しいことをさせちゃいけないよ。人は最後の時には、幸福でなけりゃ。笑って死ねれば、どんな人生にマイナスがあったとしても、そこでプラスに逆転するんだ。」
日高の心には、不幸の真っ只中で死を選んだ妻のことが心によぎる。「人の肉体を殺したら罰されるけれど、人の心を殺しても罰せられないのは不公平ではないか。自分は妻を殺したのも同然だ、、、。自分は裁かれるべきなんだ。その償いを果たすことが出来るんだろうか?」
もし少年が殺人をおこしているとなれば、「私は取り返しのつかない過ちを犯したのだろうか。善を行ったつもりで、悪を行ったのであろうか」と日高は深く悩む。
「償い」は、殺人犯を追うミステリー小説と一言では言えません。精神や心の問題を重要なテーマとした小説です。
さてさて、絶望を抱えて生きる二人の魂は救われるのか?事件の真相はいかに?
感動の長編ミステリーでした。

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