「ネパールの山よ緑になれ」安倍泰夫著
安倍さんは山家でありお医者様である。
彼がネパールの支援活動にのめりこむことになったきっかけは、1974年の12月、ランタンヒマール山嶺からの下り道で出会った貧しい身なりの少女であった。
運命的な出会いと感じた彼は少女を養女に迎えることを決めた。
そのことから彼のネパールへの援助活動が始まる。
この本は、
「ネパールでは森林が伐採され、土砂崩れ、水源の枯渇が著しく、小児死亡率の第一位は悪い水による下痢だった。半年の乾季と畜害のため植えた苗が根付くのは0,5%と言われていた悪条件を独自の方法で克服し、ついに20万本の緑を復活させるまでの記録」(本書帯から抜粋)
である。
30年間の歩みをふりかえり「多くの方に助けていただいた。’お助けマン’ならぬ’お助けられマン’であった」と、安倍さんはおっしゃる。あくまでも謙虚である。
私が一番感銘を受けたのは、現地のネパール人が民族の垣根を越えて自発的に植林に力をあわせるようになるまで導かれたことである。そこには私が理想に思う「喜びや苦労を分かちあおう!共に学びあおう!」という精神がつらぬかれている。
今年4月のタライ平野からジャナクプールへの道中で、渇水のため水を求めて何キロも歩く人々や、バサンタプールで伐採による禿山を見て胸を痛めていたが、植林に取り組む安倍さんたちのグループが活発に活動されていることを知り本当に嬉しく思った。これからも〔NGOカトマンズ〕の活動を見守りたいと思った。
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