安楽病棟 帚木蓬生著
色々な症状の老人が暮らす認知症病棟での出来事を、理想の介護を実践する新看護婦城野の生き生きとした言葉で綴られているミステリー小説。
ミステリーと言っても最後のほうまでミステリーとは分からない。
認知症患者さんの日常が、詳細に患者さんへの愛と理解で溢れる語りで話はすすむ。
30章からなり、最初の10章では10人の患者さんの生い立ちと施設に入所するようになったいきさつが紹介される。
後の20章は、施設での患者さんの起床の介護から始まり入浴や排尿誘導や当直、四季折々の行事が大変だけれど楽しく語りすすめられるが、担当医との関わりが折り込まれ、だんだん本の題名が認知症病棟でなく、何故安楽病棟となっているのかが分かってきてこの辺からミステリーめいてくる。
常に患者さんをかけがえのない人間として見ている城野看護婦と、「週末期医療研究会」に属し、患者の問題を医療として答えを出そうとしている冷ややかな香月医師。
精神科医でもある著者帚木蓬生の優しい目線を感じさせてくれ、深い問題をかかえてはいるものの、情感溢れる看護婦の言葉が自然に胸に響き、介護するって時にはなかなか楽しいのかもしれないと思わされた。
両親をすでに見送った私にとって、安楽病棟は自分の問題として考えさせられた。介護されるのは辛く苦しいと思っていたけれど、城野看護婦のような人がいるのなら喜んで入所するだろうと思った。
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春の読書
先月から何冊か本を読みました。…
その子さん、お久しぶりです。こちらでこの本の紹介をしていただいて、アマゾン書店に注文し読みました。私のブログに今日、この本を含めての最近の読書について書きました。読み応えのあるご本の紹介、有り難うございました。
トラックバックも送ってますので、宜しくお願いします。
路子様。コメントをありがとうございます。ブログも拝見しました。
私の本棚を覗いてくださり、深い思いで読んでくださったこと嬉しく思いました。
現実に今愛する人の介護に対面されている路子さんの深い思いと、この先介護される側に立つだろうと思って読んだ私の思いは、同じ深い思いと言ってもその深さには大きな隔たりがあることを思わされました。
本て面白い!コメントをいただくと浅い私の思いも少し深くなり嬉しいです。
これからもよろしく!