思索紀行

思索紀行 立花隆著
この本を読んで立花隆氏に先入観をもっていたことがよく分かった。
私は立花氏のことを難しいことを述べる評論家と見ていたので、この本を友人から紹介されなかったら手に取らなかったと思う。
実際にはその友人より先に夢中になって読んだ。2010年を迎えるときにあたって相応しい書物であった。
私は彼を机上の評論家と思っていたので、彼が’私好み’の根っからの体験派であることがわかって驚き感動し尊敬するに至った。
<<<旅は日常性からの脱却そのものだから、その過程で得られたすべての刺激がノヴェルティ(
新奇さ)の要素を持ち、記憶されると同時にその人の個性と知情意のシステムにユニークな刻印を刻んでいく。旅で経験するすべてのことがその人を変えていく。その人を作り直していく。旅の前と後では、その人は同じ人ではありえない。>>
(もちろん彼のいう旅は添乗員に連れられていく見物旅行ではありません。)
立花隆を育て上げてきた旅(人生)紀行。
生い立ちから始まり、彼の人生の一大転機になったという東大2年の時の、友人と二人で実行したヨーロッパで開かれた「国際学生青年核軍縮会議」に新藤兼人の「原爆の子」などの映画3本を携えて出席するというヨーロッパ無銭旅行の経緯など、のめりこむように読んだ。
彼は私と同じ世代でかれの大学時代の学園紛争・赤軍派の闘争の様子や家庭の事情など手に取るように理解できて興奮した。
イスラエルやスペインやニューヨークの紀行など私もプライベート旅行で行っているので少しの接点があり同調し考えさせられることも多く面白かった。
パレスチナ報告と問題点では、彼自身が自分の無知さを恥じているぐらいで、到底私には難しすぎて自分の’無知の知’を確認しただけだったけれど目が開かれたところも多々あった。
これは買って本棚に収めたいと思った本でした。

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思索紀行 への4件のフィードバック

  1. 斉藤博行 のコメント:

    ご無沙汰しております。
    CALOの斉藤です。ここ2年間海外で仕事をして2009年の12月に帰国しました。2010年の正月は日本でゆっくりとグータラに過ごすことができました。
    ホームページの更新が頻繁で感心しております。
     最近はほとんど本を読んでいませんが、実は、立花隆のFanです。1974年の田中角栄研究にはじまっての社旗的問題、「脳死・宇宙」など科学技術に関する書物も多く、一時は読みあさったものです。最近は、ご本人のガン体験から発する内容の情報もあり、NHKのテレビでインタビューの最中に泣く場面も見受けられました。
    「思索紀行」も2004年10月に出版されたときに購入して読みましたが、内容はほとんど覚えていませんでした。これからは時間もできそうなので本とのかかわりも多くしていきたいと願っています。

  2. Breeze のコメント:

    斉藤さん、コメントありがとうございます。先日Mちゃんに電話をしたら「今から斉藤さんの帰国歓迎ランチ会に行くところ」って言うので、ひがんでいたところでしたよ。
    ホームページ。斉藤さんから手ほどきを受けた頃と比べ随分レベル上がったでしょう?
    これからも頑張りますのでチェックしてくださるようお願いいたします。
    この度は本棚を覗いてくださりありがとうございました。立花隆さんのFanだったとは、、。イメージ違いますね。いや、そうでもないかな。私もこれからFunになります。
    立花さんがガンを患われたとは知りませんでした。「脳死」や「臨死体験」の著作もご自分の体験にあわせた論説なのでしょね。興味が沸きます。読んでみます。

  3. 3月うさぎ のコメント:

    立花隆氏は私が尊敬するジャーナリストの一人。
    最近、私も彼がガンに冒されていることを知りました。
    しかし、彼は自分のガンをも研究対象にする気丈さ。
    抗ガン治療も受けないとか、、
    なんとか、その気丈さで病気に打ち勝ってほしいと願います。
    「脳死」「臨死体験」どちらも、とても面白かったですよ。

  4. Breeze のコメント:

    3月うさぎさん
    コメントありがとう!
    立花隆氏にも傾倒しているんですね。
    「脳死」「臨死体験」まだ読んでない。
    柳田邦男さんはいかがですか?脳死についてよく書いておられますね。
    彼の本を紹介しそびれているんですが、立花さんの「臨死体験」から読んでみます。

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