ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー

「ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー」 ブレイディみかこ著

朝日新聞土曜日に連載されている「フロントランナー」に先週、ライター・コラムニストのブレディみかこさんが紹介されていました。彼女は英国のブライトンという街でアイルランド人の配偶者と一人息子と3人で暮らしています。

生まれは福岡で小学校はカトリックのお嬢様校、中学校は校内暴力で荒れた公立校、高校は進学校で有名な修猷館高校に在学されていました。

卒業後音楽好きが高じ渡英を繰り返し、アルバイトで始めた託児所での仕事から保育士の資格もとり、「最底辺保育所」で働きながらライター活動を始められます。その時期に結婚され一人息子が誕生します。

もともとは子供嫌いだったのに、子供が生まれてからは、子供大好き人間になり、愛する息子をこの英国で大切に育てていく過程を綴った記録です。

子育てがテーマではありますが、単なる育児記録ではないです。

英国の教育問題、雑多に存在する民族(人種・国籍)、極端な貧富の差、オックスフォードやケンブリッジ大学を目指す進学校と地域の公立底辺校。それぞれにある差別蔑視に遭遇しながらの親子で学んでいく記録。

小説のような物語ではないです。深い洞察。黒白の結論はつけず、母と息子がともに体験し学んでいく記録。共に悩み共に喜び共に乗り越えていく様子が、読者も共に体験していけるという記録で大変興味深く読みました。

金子みすずの詩にある<みんな違ってそれがいい>ということをつくづく感じさせられました。

この時代。ますますグローバルな世界になり、日本人というアイデンティティにどっぷり浸かっていては道を誤ってしまいます。

2019年ノンフィクション本屋大賞を受け、すごい反響をよんでいるとのこと。

海外留学を希望する若者はじめ、海外で仕事をする人たち、どの世代の人にも読んでほしい本でした。

以前この本棚で紹介した「君たちはどういきるのか」吉野源三郎著を思い起こされた。

 

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