ガラシャ

「ガラシャ」 宮木あや子 著

この小説に描かれる細川ガラシャ夫人はまたまた違った視点からなります。

戦国時代、権力争いによる戦続きの世、翻弄される男たちの影には家を守る女たちも存在します。政略結婚が当たり前、側室も当たり前のなかに生きる女たち。

キリシタンに救いを求め命を神に捧げた聖なる細川玉カラシャの生涯には信長に謀反を起こして殺された明智光秀の影響も濃くありそのお家騒動のなかに生きる人々のことが、この本「ガラシャ」から「そっかあ、そういうことかあ」とかいう感じで読み取ることが出来ました。

物語の軸になるものは、<戦国純愛絵巻>であり、嫁いだ後にはじめての恋を知った玉子はガラシャと名を改め、異国の神に祈り続ける。彼女に献身的に使える侍女糸もまた(注:先日紹介した芥川龍之介の「糸女の覚書」はガラシャを斜めから見た糸女という侍女だったが)、報われぬ愛に身をこがし神に救いを求め、玉子にもキリシタンへの道に導く。

父・明智光秀、夫である細川忠興、舅の幽斎―想えば想うほどすれ違う恋人たちを描く渾身の恋愛長編。

もちろんフィクションの小説ではあろうとは思いますけれど史実を忠実に調べそれを小説に膨らませて、現在にも通ずる女性の胸の奥に秘められた思いを垣間見ることができ興味深く面白く読むことが出来た。

特にキリシタンの関心のある方に読ませたい本でした。

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