「鏡の背面」 篠田節子著
大手出版社社長の令嬢として生まれ、親から受け継いだ莫大な資産を、アルコールや薬物依存、性依存、自傷行為といった問題を抱える女性たちの救済のために自らの人生を捧げ、彼らと生活をともにしていた、神様とも言われるぐらいに尊敬されていた小野尚子が宿舎としていた軽井沢の新アグネス寮に火事が発生し、尚子は女性たちを助けて焼死する。
ところが警察の遺体の検証の結果、焼死したとされた小野尚子は別人であることが判明する。
その別人は別件で連続殺人犯と疑われている半田明美ではないかという。
小野尚子は半田明美に殺されたのだろうか?何処で?半田明美が小野尚子に入れ替わることは可能なのか?
その事件をスクープしようと女性ルポライターの知佳が真相を追うというミステリー奇怪小説です。
知佳が事件を追う形で話がすすむので、どうしてもインタビューや残された日記などから話が展開する。
内容はおどろおどろしくミステリーの中に深い問題意識も含まれているのにかかわらず、現実味が薄いのが残念だった。
ハードカバーの長編小説でずっしり重く、正直2000円もしたから最期まで頑張って読んだというのが真相。
渾身込められて書かれた力作だということはよく分かったのですが、篠田節子さんごめんなさい。