【バッタを倒しにアフリカへ】 前野ウルド浩太郎 著
アフリカの砂漠地帯では何万匹ものアフリカトビバッタの大群がある日突然現われ、大地に押し寄せ耕作物を食い尽くし深刻な飢饉を引き起こしているということを昆虫研究者の前野浩太朗が知り、人類を救うため、そして、自身の夢を叶うために、単身サハラ砂漠・モーリタニアに乗り込み、謎多きバッタ相手に繰り広げた死闘の日々を綴った1冊である。
コータロウ少年は小学生の時ファーブル昆虫記に魂を奪われるほどの感銘を受け、将来は絶対昆虫博士になるぞと決意し昆虫研究の道に進む。
ここは有名な魚博士の「さかなクン」に似ている。さかなくんは進学に苦労したようだけれど、コータロウくんは神戸大学に進学し、コツコツ昆虫の研究を続けてこられた。
しかし今国内有名大学で問題なっているポスドク人間の一人である。ポスドク人間というのは、研究の夢を持ち大学に入学し大学院に進学、ドクターコースにまでいって博士号を受理しても、就職が出来ない若きドクターのことを言う。
あのあこがれのファーブルでさえ教師をしてお金を稼いだという。
給料が約束された研究所の門戸は狭く、ポスドクさんたちは世界の大学の短期の研究員や奨学金を求め歩いて苦労なさっている。コータロウ君はそのうちの一人であった。
世界にアフリカトビバッタを研究する研究員やバッタ撲滅センターなどはあるけれど、実地に行って自分の目でデータを集めて研究する人が少ないことを彼は知り、また自分も子供の頃から直接昆虫に触り愛し知識を得てきたことを大切にしているので、無収入のまま貯金を崩して実地調査に向かう。
昔、信州地方にイナゴの大群が押し寄せ農作物を食い荒らしたという話を聞いたことがあるけれど、今長野でイナゴの珍味の佃煮として見ることが出来る。過去にどんな方法でイナゴを壊滅させたのかはしらないのだけれど、アフリカでは今アフリカトビバッタで困っているそうです。
国としては単発的に強力殺虫剤で一網打尽しているようだけれど、それでは自然破壊・地球破壊に繋がるではないか。誰もアフリカで腰を据えて研究しておらず、バッタの研究が止まったままと知ったコータロウ君は「未熟な博士でも全力かませれば新しい発見が出来るかもしれない。アフリカの食糧問題も解決できる。その上成果をひっさげて凱旋すれば、日本の研究機関に就職が決まる可能性も極めて高い!見えた!バッタに喰ってもらえて、昆虫学者としても食っていける道が開けるのではないか!」と
夢を叶えるために手っ取り早そうなので、アフリカに単身乗り込んだのが33歳独身浩太朗君2011年春のことでした。
本の帯に「前代未聞、抱腹絶倒の科学冒険ノンフィクョシン!」とあります。
コータロウ君は5年間にわたる苦渋のモーリタニアでの研究活動が認められ現在はポスドクを卒業し、昆虫研究で生活費をまかなえるようになりました。