小説「聖書の女性たち」 木崎さとこ著 日本キリスト教団出版局
旧約聖書から新約聖書に出てくる女性たちのエピソードを、1編が原稿用紙8枚という短い小説(旧約24編・新約12編)に書かれた興味深い小説であった。
旧約聖書にまず出てくる女性は、言わずとしれたアダムのあばら骨から作られたというエヴァである。アダムを誘惑に陥らせ、神との約束を破って楽園を追われた人類の源、アダムとエヴァ。
でも、神との約束を守っていたならば、その後現在にまで延々と続く人類の歴史は存在しない。
あなたも私も存在しない。
旧約聖書では、「イスラエルの歴史に神がどう働きかけたか」という一貫したテーマがあり、それに添いながら子孫を残していく道程は、残酷ながら中々考えさせられる。
旧約の時代から男は、権力のみを求め、女は男が権力を維持するために子孫をのこす道具であった。男は道具としてしか又は欲望のはけ口としか女を扱わない者が多く思慮に欠けていた。女はそのような納得しかねる女の道をそう単純に受け入れていたわけではないのではないか。そのへんの思慮深い女性の深層心理が、とても魅力的にえがかれている。
初源の女性・エヴァ、聖母マリアと姉のエリザベト、そして圧巻はマグダラのマリアの話。
愛すべき聖書に出てくる女性達!
聖書を少しはかじったことのある方は、必読。
よくわからなかったアブラハムやバベルやサムソンなどの事情も、そうだったんか等と、納得できたりします。
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