「人間の死に方」 久坂部羊 著
久坂部羊氏と箒木蓬生氏はお二人とも医者であり作家である。
お二人のファンなんですが、お二人の著作がついごっちゃになってしまう。
どちらも医者として現在の医療現場のあり方に疑問を持っておられることや高齢者問題に詳しいことなどが共通点で、そこに根ざした随想、小説が書かれていることが多く、私には関心があって共感出来ることも多くあります。
箒木蓬生氏は私の本棚にも載せた「風化病棟」「安楽病棟」に感動し、最近では「ネガティビ・ケイパビリティ」を紹介しました。
久坂部羊氏では彼のデビュウ作になった「廃用身」に衝撃を受け、最近では「老乱」に感動して紹介しました。
今回は特に自分の問題として高齢者介護と終末のあり方に関心があったので久坂部羊氏の「人間の死に方」を読んでみました。
同時に「ブラックジャックは遠かった」という久坂部羊氏の青春期記録書を楽しく読み、彼が大阪の堺育ち阪大医学部の出身の明るい関西人とわかり、「人間の死に方」いう深刻な話題もすごく親近感をもって読みました。
「人間の死に方」の本は、久坂部羊氏が、<徹底した医者嫌いの元医者である実父>の終末を、病院には任せられないと、自宅介護で見送くられた記録です。
医療否定主義者の元医者である実父を納得して受け入れ愛し理解し、糞尿の世話まで自宅で丁寧にされた現医者の羊さん。妻である母、嫁である羊さんの奥様の戸惑い。
私には出来ない、病院に任せたいと願う私です。息子も父親のケアは出来ないと思う。
私自身の老人としての生き方も問われているなあと思わされました。