【忘れられた巨人】 カズオ・イシグロ著 土屋政雄訳
イギリス国籍を持つ日本人作家、カズオ・イシグロさんが今年のノーベル文学賞を受賞されました。
彼の著作とは知らないで、ドラマ化された番組「わたしを離さないで」をとても興味深く観ていましたので、他の作品を読みたくなって「忘れられた巨人」を購入しました。
これは「わたしを離さないで」とは全く違うジャンルの小説です。
6~7世紀ごろの北の国(現在のイギリスでいうグレート・ブリテン島)での国盗りファンタジー小説でした。
あらすじを本の表カバーから抜粋します。
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不本意なことから息子と生き別れ、遠い地で暮している息子に会うため、長年暮らした村を後にした老夫婦。一夜の宿を求めた村で少年を託された二人は、若い戦士を加えた4人で旅路を行く。・・・・
アーサー王なきあとのブリテン島を舞台に、記憶や愛、戦いと復讐のこだまを静謐に描く。
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考えてみれば、人類の歴史は古代から今世代まで国と国の権力戦争で成り立っているのではないでしょうか?
暴力で国を征服しても、又暴力で乗っ取られるの繰り返し。
権力に翻弄され罪なき人々、権力者さえが死んでいく。
国盗り物語は自分とは無縁の世界と思って、居心地の良いソファーに身を置き、面白がって読んだり観たりしがちでしたが、今の世界状況を考えると日本も同じ過ちに巻き込まれるかもしれない、他人事ではない思いにかられてしまいました。
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この小説は、今私達が立つ場所にまっすぐつながっている。・・角田光代推薦!
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NHKで放映されている「精霊の守り人」を綾瀬はるかの痛快な立ち回りが見事で楽しみに観ていましたが、「忘れられた巨人」の世界と合致していることに気づきました。
そのため「忘れられた巨人」の舞台になる自然風景や住民、住居、衣装などの描写がリアルにイメージ出来てとても楽しく読めましたし、何よりも妖精や悪霊が浮遊する世界が違和感なく感じられたことなど奥が深い!
カズオ・イシグロはノーベル文学賞受賞作家なんだと納得させられました。
「わたしを離さないで」も本で読みたくなりました。
余談ですが、綾瀬はるかは「わたしを離さないで」でも主演されていましたね。
あ、ついでに、綾瀬はるかは今TVドラマ「奥様は取扱い注意」でも痛快なアクションを見せてくれて毎週楽しみに観ています。NHK大河ドラマ「八重の桜」以来のファンです。