老乱

「老乱」 久坂部羊 著 朝日新聞出版

私も物忘れがひどくなってきた。夫が「あんたは完全に認知症だ!」と言ったので、私はチョットびっくりしたが「そうです。私は認知症です。ですから認知症の人の気持ちを知って、正しい話し方、どう付き合えばいいか?など書いてある本を読んで下さい。」とこたえました。

そのことがよく分かる本が、久坂部羊著の「老乱」である。

妻に先立たれて4年、気丈に立派に一人暮らしを続ける78歳の夫。それを近所で見守る息子夫妻。

私も夫より先に死ぬと同じ状況になるなあと思いながら読み進めた。

一人暮らしを完璧にこなす五十川幸造が、少しずつ物忘れがひどくなり失敗することが多くなった。認知が始まったなと心配する嫁。信じたくない本人と息子。

刻々と認知症が進んでいく状況が、幸造の立場からと、ケアをする嫁、息子の立場からえがかれている。

認知症を認めたくない、失敗を正当化したい幸造の気持ちと、なんとしても認知を食い止めたい嫁の気持ちなど、どちらの苦しみも良く分かった。

精神科医であり小説家でもある久坂部羊の話には説得力がある。本当に勉強になった。

夫に読ませたいけれど勧めにくい。

認知症にまだ陥っていないあなた。是非読んで下さい。

目からウロコ!感動しますよ!

カテゴリー: 小説 パーマリンク

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です