しぶとく生きろ

「しぶとく生きろ」 野坂昭如 著 朝日新聞社

野坂昭如氏の本は直木賞をとった「火垂るの墓」しか読んでいない。1945年6月5日の神戸大空襲に遭遇し,厳しくも優しく育ててくれた養父母と家屋敷全てを失い、瓦礫の中にのこされた赤ん坊の妹と二人途方に暮れながらしぶとく生きる14歳の野坂氏の実体験にもとずいた物語でした。

赤ん坊の妹も死に、彼はその後実父の元にかえり早稲田大学に入学するも中退し小説家の道を歩む。実生活では色々ハチャメチャな生き方で話題になり有名になっていき、私には縁遠い生き方であまり関心はなかった。2015年12月9日に亡くなられたことを知り、彼の生き様を振り返ってみたくなり「しぶとく生きろ」の本を購入した。

本を読んで野坂昭如さんて本当に人間味のある素敵な方だったんだなあと知って、彼の死をつくづく惜しみました。

以前彼が「戦争の体験は2度としたくないし、誰にもさせたくないけれど、あの体験があったからこそ今の自分があり感謝することがある。」と書いておられたことを思い出す。私にも、二度と繰り返したくないけれどその失敗があったから良かったという経験があるなあと思ったことがある。

最近頻繁に起こる大自然災害、テロや内戦、大虐殺、原発の危険を、彼は心底心配している。それらは「それがあったから学習できた」どころではなく、絶対にあってはならない。地球撲滅の危機が目前にきている。

この「しぶとく生きろ」は野坂が2003年に脳梗塞で倒れ執筆もままならない苦しいリハビリ生活の中、2007年2月から2011年9月にかけて、毎日新聞に隔週連載されたエッセイを編纂されたものである。

将来、日本、世界を担うことになる青年、子どもに、しぶとく生きてきた自分よりさらに「しぶとく生きろ」と力を込めて病床から真剣に叫ばれたエッセイである。

現に世界では、戦争は過去のものではなく、今日もシリアの内戦でアレッポの街が人影もなく瓦礫の街になっている様子をテレビでみました。そこで暮らしていた人々は難民となって何処にさまよっておられるのか、、、。

政治家達(トランプも安倍さんも)は目先のことにとらわれず世界平和を見通した政策を世界の国々と協力しあって作って欲しいものです。

期待できないですねえ、、。子どもたちに期待したい。やっぱりそのためには大人がしっかり伝達していかないと、、、。

 

 

 

 

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