「夫婦口論」 三浦朱門 曽野綾子 共著 扶桑社新書
<口論>というと悪口を言い合うというイメージだったので、この題から三浦・曽野夫妻が悪口を言い合う本なんだろうかと思ってしまったが、全然違った。
副題は<二人で「老い」を生きる知恵>とあるのだけれど、それとも違う。
近年の風潮をもう世も末だなと憂い、夫妻で嘆きながらしゃべりあったことが書かれている。
三浦氏と曽野氏の生き方は、教壇に立つ大学教師とサハラ砂漠にでもどこにでも行くといった現場調査重視の小説家といった大きな違いもあるが、お互いに相手を尊敬しあい認めあいされているご夫妻であり、夫妻として付かず離れず仲良く生活されていることが分かって面白かった。
会話の内容は
- 流されない生き方
- 子どもに何を教えるか
- 成熟した大人になるために
- 自立した人生のすすめ
- よき日本人であれ
- 国際社会で生き抜くために必要なこと
- 人生に必要なこと
- 宗教と人生
- 夫婦の生き方・哲学
- エピローグ・・後世へのメッセージ
というテーマの会話である。
お二人性格も違ってそれぞれ行動される場所も別々だけれど、二人の考えの根底は同じで、会話(口論)はユーモアに富み穏やかで嫌味はなく大変楽しいものであった。私も「そうそう、私もそう思う」とか言って一緒に会話の輪に入っていたような気持ちにさせられた。
でも、中で「ちょっとそれは、、、?」とおもったのが3つある。
1つは「全ての教育は強制から始まる」 2つ目は「国旗・国歌に対する非礼は世界の非常識」 3つ目は「靖国神社に行くしかない」である。
曽野さんは逆説的正論をされることが多くて他人から批判されることも多いが、私は納得することが多い。例えば「海外援助活動も、“世界中が泥棒”と疑ってかからねば失敗する」というご意見にはホント賛同する。
最後の10,エピローグ後世へのメッセージの ・国家がなくなった異常事態 ・戦争は語り継げない ・靖国神社に行くしかない ・生活の源流を知らなくてはいけない ・この偉大なる矛盾 ・幸福は自分で発明する
という6項目を見るだけで、彼ら独特の歯に衣きせぬ会話が展開されていることがお分かりかと思う。
曽野綾子さんの生き様(考え方)がよく分かって面白かったし、自由で真摯な彼女の生き方は夫三浦朱門さんの包容力があってのことかとも気づかされ、私自身の生き方に照らし合わせて考えさせられた。
図書館で借りた本だったが買って本棚に置きたいと思った。