カミ?ユ・クローデル 湯原かの子著
副題が、「極限の愛を生きて」という、カミ?ユ・クローデルの伝記である。
臨床心理学士でもある私の尊敬する友人が、何度も読んだというので興味を持って本を開いた。
カミ?ユ・クローデル(1864?1943)は、「考える人」を作った有名な彫刻家であるロダンの愛弟子であり、女性の彫刻家というのを世に認められていない時代の、天才的に才能のある美しい女流彫刻家であった。彼女の育った家庭環境には問題が多々あった。母は妹を溺愛しクローデルは嫌われ、父母の関係は悪く、弟だけが理解者であった。
ロダンは、クローデルの才能を高く評価し、二人はお互いに切磋琢磨し芸を高めていくが、愛しあう関係になるのは、当然の成り行きであろう。
しかし、その愛は歪であった。ロダンには、平凡な魅力があるとは言い難い妻がいて、彼は妻と別れる気は毛頭ない。かたや美人で才能もあるクローデルは、ロダンが妻と別れず、ロダンとの愛が成就しないのにいらだち、次第に精神のバランスを失っていき、ぼろぼろに壊れてゆく。
ロダンと決別したクローデルはたちまち生活苦に陥り、狂気の淵へ吸い込まれていく。ついには精神病院に入院させられ30年間。病院から出ることはなく、彼女の本心を誰からも理解されず79歳の命を終える。
極限の愛に生き、そして気が狂い破滅したクローデル。
その根源を、私は、師でありライバルであり愛人であるロダンにあると思うのだが、友人は、彼女の育った家庭に大きく根ざしていると見ておられるようだ。
現代、精神を病む人々が異常に多くなってきて話題になっているが、クローデルの行き様は、その根源を暗示するヒントを示しているようで、私もあと2?3回は読み直してみたいと思う。
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