あなたがいる場所

あなたがいる場所「あなたがいる場所」 沢木耕太郎著  新潮社
満員電車、フェスタに集まる人々、スクランブル交差点をドッと渡る人々。
何百人もの群衆だけれど、一人ひとり別個に違った生活を送っている。
著者はそんな人々の中から9つの話をつまみ出し、9編の短編の小説に仕上げた。
1, 「銃を持つ」女子高生の微妙な友人関係の話
2, 「迷子」親の離婚で母と暮すユウスケが、公園で母親の虐待から逃げ出したらしい女の子に関わってしまう話
3, 「虹の髪」通勤のバスでいつも会う虹の髪を持つ若い女性に惹かれる中年男性の話
4, 「ピアノのある場所」貧しい少女ユミコが家庭の事情で引っ越ししなくてはいけなくなり、お別れにお金持ちの級友マリちゃんを訪ねる話
5, 「天使のおやつ」学童保育で校庭で遊んでいたアサミが滑り台から落とされて死んでしまう話
6, 「音符」静子は、夫を妻子から奪って結婚し幸せに暮らしていた。しかし夫は病気で死んでしまう。夫は別れた妻子のことを思っているようだったと気付かされる話
7, 「白い鳩」高校生のいじめの問題。最近残酷ないじめの話がニュースになっているが、そまで酷くはないよくあるちょっとしたいじめだけれど、本人にとっては重い体験の話
8, 「自分の神様」家庭教師の生徒の父親と不倫関係になっている奈緒は別れなきゃと思っている話
9, 「クリスマス プレゼント」半年前に妻が亡くなり、息子は家を出ていて一人暮らしもまだ慣れない石川。年末に新しい肌着を家族のために揃える習慣があったが、生前妻もそれをしていた。しかし送るのがいつも12月20日と決まっていたのでクリスマス プレゼントを兼ねていたのだと気づきプレゼントを送る話。

著者は、教科書に載っていたわかりやすい短編小説を出発点として、文学の森に分け入ることになったという経験があり、少年少女に最後まで読み通すことのできる<わかりやすい>短編小説を書きたいと思われて出来上がった作品です。

勿論わかりやすいというのは重要だけれど、内容はそれぞれ心を打たれる素晴らしいものです。私は中でも第9話の<クリスマス プレゼント>が素晴らしかった。ここでオチを紹介したいけれどしません。是非読んでください。

高校生の孫達に、此の本をクリスマス プレゼントしようと思います。

写真はクリックすると大きくなります。第7話の絵です。

カテゴリー: 未分類 パーマリンク

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です