ランナー

「ランナー」 あさのあつこ 著  幻冬舎文庫
長距離走者として将来を嘱望された高校一年生の碧李(あおい)のアスリートとして生きる壮絶な物語である。

小さいときから走るのが大好きだった碧李は陸上部で頑張り、両親との3人家族で平和に暮らしていた。

ある日父親の弟夫婦が4歳の可愛い娘を残し事故で亡くなってしまう。両親は遺された杏樹(あんじゅ)を娘として引取り4人家族になって暮すことになる。

ところが父親が不倫をし両親は離婚することになって母と碧李と杏樹と3人の暮らしとなる。

そのころ走者としてこれまで良い記録を保っていた碧李が大会で失速してしまい自信を失う。その上母親が妹の杏樹をひどい虐待していることに気づく。 

碧李は母親と杏樹を守るために部活を止める決心をし退部届を出す。

しかし監督、女子マネージャー、陸上部の親友久藤たちに、走ることを辞めてはいけないと励まされ、自分は何故走るのを止めようと決意したのかをよく考えてみる。

家庭の事情からと自分に言い聞かせていたが、本当は大会で失敗したため走ることが怖くなり、逃げていたのかもしれないと思う。

とにかく走ることに集中しよう。壁にぶつかり悩みそれでも走ることで救われることがある。

杏樹は父親が引取ることになり、家族もアスリートとしての碧李もスタート地点に立ちゴールを目指して精一杯走ろうとしている。

ソチのオリンピックが終ったばかり、輝かしいアスリートたちの映像をみながら、選手一人一人楽しいことより苦しい体験も多く、でも乗り越えていくなかで記録より人間として成長していく自分を感じとり、アスリートとしての生きる道を走り続けているのだろうと思わされた。

来週始まるパラリンピック。選手たちの道のりも想像を絶する大変だったことだろう。

全国に何万人もいるちびっ子アスリートたち。記録よりも得ることが多いことを体感しているからこそ苦しいトレーニングも続けているんだろうなと思いを巡らした。

カテゴリー: 未分類 パーマリンク

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です