ピアス短編集:まよなかのパーティ フィリッパ・ピアス著 猪熊葉子訳
元小学校教諭Yさんが体調を崩してしまい、何年ぶりかで読んだフィリッパ・ピアスの本で癒されたと聞いたので早速図書館で「ピアス短編集」を見つけて読んだ。
フィリッパ・ピアスは児童書作家として有名だそうだけれど私は知らなかった。1985年に出版された本だけれど今作者が存命なのかどうかも知らない。
いずれも作者が育ったイギリスのケンブリッジにほどちかいグレート・シェルフォードという所の田園での生活が舞台で、日々冒険の中から成長していく子供を中心に分別ある大人を脇役にして展開される。
8つの短編が集められているが私は中でも「川のおくりもの」が面白かった。
10歳ぐらいの男の子ダンとロンドンから遊びにきた7歳ぐらいのローリーという従兄弟の話である。
生物好きのローリーが来るといつも遊んであげる小川で今回も二人で遊んでいると、珍しいイシガイをダンが見つけた。珍しい生き物を見つけた時の感動や、所有権にまつわる可愛らしい取引、年長者ダンの気持ち、弟分の気持ちなどがごく普通に淡々とえがかれている。
ローリーはいつも、川で見つけた川えびなどをジャムのビンに入れてロンドンに持って帰り、水槽で飼っている。ダンは見つけたイシガイをローリーにあげるとは言ったものの惜しくなっている。
そのへんの子供の心理がとっても可愛らしくかかれていて感動しました。
この本は児童書の分野だけれど子育てに関わる大人が読むほうが面白いのではないかな。
10歳の孫達とその親に贈って反応を見てみよう。
この舞台になっているグレート・シェルフォードは現在も豊かな田園が広がっているのだろうか?
昔の子供たちが自然の中から学び成長していったように、今の子供たちが豊かに育っていくための舞台はどこにあるのかしら?
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