「クアトロ・ラガッツィ」 若桑みどり著 集英社文庫(上下)
信長の時代にローマを目指した「天正少年使節」についてはずっと関心があった。
新聞でこの本が、<昨秋突然逝った著者の大佛次郎賞を受賞した懇親の作であり、天正少年使節にまつわる壮大な叙述>と紹介されていたのですぐ飛びついた。
文庫本とはいえ分厚い上下巻で、その上肝心の4少年について各個人の記述は少ない。しかし当時の東西世界の時代的背景・西洋文明と日本文化と権力者の精神的葛藤を膨大な資料を読み解き示しながら4少年の生き様を読者の心にくっきりと浮かび上がらせる技法は見事で凄い本です。
日本の戦国時代末期と帝国化していく世界とがどのような形で邂逅していくのかがリアルに分かり私にとって新しい知識の発見に胸をドキドキさせられ読み進めるのが惜しくなるような感動の本でした。
ただ宣教師の名前や日本の大名の名前とその血縁関係者の名前が漢字の読み方が難しかったりしてややこしい。日本人でも洗礼名で書かれていたりするとそれもややこしい。
だから紙に登場人物と年代を書きながら読みました。
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