ゆびさきの宇宙

「ゆびさきの宇宙」福島智 盲聾を生きて 生井久美子編纂 岩波書店

ラリグランスクラブでネパールの視覚障害児のサポートをするようになって、見えない世界で生活されている方々のことを知りたくなりました。
以前、私の本棚ででも紹介した三宮麻由子さんの本を何冊か読み、見えない方は視覚以外の五感が研ぎ澄まされ、私のように見える人の世界より、もっと見える世界で輝いて生きておられることを知り感動したものでした。
ネパールのLSG(ラリグランス視覚障害児寮)の子どもたちに見えない世界のことを尋ねた所、三宮さんと同じように見えない世界には独特の素敵な世界があることを教えてくれました。
見えない世界は、私が想像するような真っ暗闇の世界とは違った光りあふれる世界であるらしいのです。
彼女たちの底抜けに明るい表情をみると、確かにそうなんだろうと納得させられました。
その後、福島智さんという目が見えず音も聞けない盲ろうの方が東大の教授になられたというニュースを聞きました。三宮さんやLSGの子どもたちのように、可愛い小鳥のさえずりさえも聞くことも出来ない世界。そこは無音漆黒の世界にただ一人、宇宙に放り出されたような孤独と不安の世界。
先日5月3日の地デジで紹介された、「夫婦二人の里山暮らし」梅木好彦さんと盲ろうの妻久代さんのドキュメントを見る機会がありました。京都府のはずれ味土野という人口5人という超過疎地で肩を寄せ合いながら仲良く暮す夫婦がおられることを知ってびっくりし感動しました。
ますます盲ろうの方の世界を知りたくなった時に、新聞で「ゆびさきの宇宙」が紹介されていたのですぐ注文して読みました。
その本には、東大教授にまでなった盲ろうの福島さんの現在に至るまでの困難な道程を、<困難を突破しながらの生き様>とはとても一言では言えない、深淵で珠玉な言葉で埋め尽くされています。
私の心に一番残った言葉は「不便なことと不幸とは違う」という言葉です。
今日本には約1万人の盲ろう者がおられ、実際に盲ろう者協会に登録してる方はたった約800人で、社会参加を試みている人は6%に過ぎないというのです。
福島さんは自分の身体は、あとの94%の人々のために神に遣わされた身体であり、死ぬまで生きて生き抜いて、盲ろう者の役に立つための使命を遂げたいとおっしゃっています。
そして忘れてはならないことは盲ろう者を支える人々のことです。人と人のコミュニケーションほど大切なことはないということも何度もおっしゃっています。家族、友人、そして指点字が出来る通訳者。

これからいつも横に置いて何度も読み返したい読み返さなければと思った本でした。

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