Nのために

「N のために」 湊かなえ著  双葉文庫
著者初の純愛ミステリー。
内容は超高級の高層マンションの1室で、そこの住人大手総合商社課長野口(ノグチ)貴弘と妻奈央子(ナオコ)の変死体が発見されたところから始まる。現場に居合わせたのは4人の若い男女。
大きな夢を持って小さな島から東京の大学に進学し就活している杉下希美(ノゾミ)、杉下と高校同級生でレストランでバイトをしている成瀬(ナルセ)慎司、野口の会社に就職が決まった安藤望(ノゾミ)、大学を留年している小説家志望の西崎(ニシザキ)真人。杉下と成瀬は高校時代ほのかな恋愛感情を持っていた。杉下と安藤と西崎は同じ学生向きの小さなアパートに暮し時々は鍋を囲む仲。アパートから野口のマンションが見える。安藤は杉下に思いを寄せている。
登場人物の全てにNの頭文字があり、題名にある「Nのために」の「N」は、誰なのか?どの「N」が、どの「N」のために何をしたのか?
警察が殺人現場に居合わせた4名から詳しく事情を聞き、西崎が自分が犯人であると自首して問題は解決。となった。
しかし、そこを暴くのが小説。それぞれが誰かを庇い、何かを隠し真相はいかに?
小説のヒントとなる会話を紹介しよう。 
・・・・
西崎「じゃあさ、杉下にとっての愛って何?言い換えよう、究極の愛だ。」
杉下がつぶやく「罪の共有」
・・・・

単なる殺人事件の謎解き小説ではありません。4人の若者たちの、見返りを求めない純真な献身。
探偵小説好きの人、恋愛小説好きの人、両者ともが満足できるなかなか奥深い小説でした。

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