「アンのゆりがご」村岡花子の生涯 村岡恵理著 新潮文庫
今人気のNHK朝のドラマ「花子とアン」の原案になっている村岡花子さんのお孫さんによって書かれました。
村岡花子翻訳の「赤毛のアン」は高校生のころとっても面白くて夢中になって読みました。
主人公アンのことや、舞台になったプリンス・エドワード島や著者のモンゴメリーのことなどには思いを馳せたことがありましたが、恥ずかしながら翻訳者にはあまり関心がなかったです。
考えてみると翻訳者の方が紹介してくださらないと、原書を読まないかぎり私等の目に届かないのに、翻訳者は黒子のような存在で、どんな思いでその作品を世に送り出そうと思われたかということまで考えない人が多いのでは無いでしょうか?(私だけか、、?)
村岡花子さんは、は明治26年に貧しい家庭の8人姉弟の長女として生まれました。ところが彼女だけが上流社会のお嬢様が通うカナダ系ミッションスクルール(東洋英和女学院)に奨学生として預けられ寄宿生活をおくることになりました。英語を命として勉強し翻訳者として成長していきます。
勉学に励む背景には、自分の生い立ちから、「貧しい農村の暮らしの改善」「家族制度に縛られてきた女性の解放」「幼い子供、女の子にお話を通して豊かな情操を育てる」という強い思いがあり、図書室にある英文の名書を読みあさり、将来は英米の優れた児童書を翻訳する仕事に情熱をもちます。
そんな時代に同じ思いで活躍する女流作家や社会活動者に愛され深い交流がありました。
例えば、吉屋信子、林芙美子、宇野千代、市川房枝たちその他いっぱい。又ヘレン・ケラー来日の時には通訳として行動をともにされました。
私が夢中で読んだ児童書「乞食と王子」「ハックルベリーの冒険」「フランダースの犬」や、子供に読み聞かせた「いたずらきかんしゃチュウチュウ」「ブレーメンのおんがくたい」など村岡花子さんの翻訳とは気付かなかった。
ドラマ「花子とアン」を楽しく観ていますが、ドラマの数十倍深い生涯を過ごされたことが分かり感動し、この本を読んでよかったとつくづくおもいました。
ドラマを楽しんでられるかた、この本を読まれることをお薦めします。