「困った人間関係」の精神分析

「困った人間関係」の精神分析  小此木啓吾著 新潮文庫
世の中には「困った人」だらけである。
この本では、その困った人たちを挙げ、その人たちの精神分析をしている。
第1章は、評判の良い困ったひとたちとしては、’親切すぎて煩わしい人’から’正義を振りかざす怖い人’まで、6つの困った人たちが紹介される。
第2章は、愛と憎しみの困った人たちとして、相手を困らせ、自分も苦しむ’恋に狂う人’、’ねたみ深い人’、’やきもちやきの人’とある。
という具合に、5章に分けて困った人たちとその精神分析が、19項目に分類されて羅列されている。
そうそうその通り!そんな人いるいる!と思って読むうち、私も人から困った人と思われているのではないかと、思わされて、困った気持ちになってくる。
自分にとって困った人と付き会いたくない場合は、その人と離れれば解決するのだけれど、離れることを許されない場合、困ってしまう。たとえば親子間の困った関係、夫婦間の困った関係、仕事の上司との困った関係、ご近所さんとの困った関係、国と国の困った関係も、、、、などなど。
この本では、困らせる人の精神分析はされているけれど、相手に私を困らせるのを止めさせる方法が提示されていない。提示されていたとしても、困らせる相手の性格を変えさせるのは不可能であると思う。
例えば、夜泣きする赤ちゃんに困っているお母さんが、赤ちゃんの口をふさいで泣き止ます訳にはいかない。(最近その手の母親が出てきているようだが、、)
困らせられている自分のあり方を考えなければならない。
自分が困ったと感じないように,工夫をしなければならない。
困らせる人だらけのこの世では、誰もがお互いの精神状態を見極めながら付き合いの工夫をしてこそ、平和に暮らせるのだろう。それが出来ないところには、人間関係に無理解という苦しみが生じて、困ったことになるのだろう。
現に私の生活には、私に工夫がたりなくて、’困らせられている苦しみ’が存在している。
困ったものだ。

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