徒然草

徒然草 吉田兼好著 角川ソフィア文庫
方丈記を読めば次は徒然草でしょう。著者吉田兼好は1,283年ごろ生まれ1,352年ごろ没という。ええっ?兼好は長明より130年ほど後輩なんですね。知らなかった。教養の無さが恥ずかしいです。
いずれも世の無常観を書かれた書として有名なのですが、方丈記が源平の争乱のなかで書かれたとはいえ、平安京の雅っぽさが漂うのにたいし、徒然草の方は南北朝の動乱のさなか武士っぽい固い口調で書かれている。なんだか説教じみた匂いを感じる。
書かれている内容は700年も経つというのに、そのまま現代にも通じるご意見です。お堅い人物と思われる一方、人間が好きで、徒然草に登場させる人物には、褒めたり、叱ったり、励ましたり、笑い飛ばしたりして、その中に無常観を含ませる話題が絶妙です。
徒然草も方丈記と同じく、最初の章しか記憶が無かったのですが、やはりこの序段があってこそなので、序段を書き写します。
つれづれなるままに、日暮らし硯に向かいて、心にうつりゆくよしなしことを、そこはかなく書き付くれば、あやしうことこそもの狂ほしけれ。
気に入った章としては、第155段です。四季の移り変わりと人生の移り変わりについて、春、夏、秋、冬、あるいは、生,老、病、死の移り変わりは、それぞれが分離して現れるのではなく、春の中に夏が、生のなかに老が潜んでいるというくだりが、なるほどなるほどと思わされて考えさせられました。

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