「誰か」 宮部みゆき著 文春文庫
高層マンションをみあげるある街角で、1人の老人(65歳)梶田信夫が佇んでいたところ、フルスピードでやってきた自転車にはねられ打ち所が悪く死亡する。自転車に乗っていた人はそのまま走り去ってしまう。
梶田は、5年ほど前に妻を亡くし結婚直前の娘聡美と妹梨子との3人で暮らしていた。
彼は今多コンツェルンという大会社の会長の専属運転手であった。
79歳になる会長の今多嘉親はバリバリの実力者でありその娘菜穂子の婿である杉村三郎が、会長の命によって事故の真相を調べることになった。
杉村は昔映画館で痴漢にからまれた菜穂子を助けたことから愛が育ち、結婚ということになり、結婚を期にこれまで勤めていた児童書の出版社から今多コンツェルンの広報部に転職する。急にお金にも不自由しなくなり豪邸に住むことになったのだが、大会社の娘婿であることに常に引け目を持っていた。
この「誰か」というミステリー小説は、平凡で善良な杉村が素人ながら事件の真相を探っていくことから登場人物の生い立ちなどが解明されていくのですが、ワクワクドキドキすることが全くなかった。
登場人物全てがここまで魅力のない小説は珍しいのではないかしら?私個人の好みによるんでしょうが。ミステリーで極悪人がないというのもどんなもんでしょうか?
ケイタイの着メロが同じということから彼と彼女が付き合っているということを見破る手口もあまりにも陳腐。
<平凡な生活の小さな事件から深みにはまる、宮部みゆきの真髄>と推奨されていましたが、もっともっと深いところに沈んでいる真相をえぐり出してほしかった。
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