黒い春

「黒い春」 山田宗樹 幻冬舎文庫
―あらすじ(ブックカバーより抜粋)-
覚醒剤中毒死を疑われ監察医務院に運び込まれた遺体から未知の黒色胞子が発見された。
そして翌年の5月、突然口から黒い粉を撒き散らしながら絶命する黒手病と名づけられた犠牲者が続出。対応策を発見できない厚生省だったが、1人の歴史研究家にたどり着き解決の発端をつかむ。そして人類の命運を賭けた戦いが始まった・・・。傑作エンタテイメント巨編。
未知の病原菌。
医学の発達は目覚しく、心臓病や癌による生存率はたかまっているようだが、これからの時代、未知なる病原菌による死亡率も高まってくるのではないかという恐怖を覚える。
一つは東日本つなみ大震災による原子力発電所の破損が人間にどのような影響をおよぼすのか、皆目わからないことが人々に不安感を呼び起こしている。
「黒い春」が書かれたのは震災以前のことであるが、未知なる病にたいする恐怖を充分つたえてくれる。
病原菌発生の場を突き止めるところにまではいったけれど、病原菌に犯された患者の救済まではいかなかった。
又その病原菌の発生は、どうも小野妹子の遣隋使にひそむ謎とも関わっているらしいという史実にも行き着く。
病原菌の発生は昨日今日に起こったのではなく長い長い道をたどって今に伝わるということも分かる。
現在地球上には異変を誘発する要因は溢れるように存在する。
放射能、酸性雨、オゾン層を破壊する強い紫外線、などなど。
そのような恐怖の現実に向き合って真摯に戦う研究者達、家族愛など、この本には人間同士のつまらない争いをしている場合でない!これからは、人々は力をあわせて未知なる悪と戦っていく時代になったんだよということを思い起こさせてくれ、希望を感じさせられる良書でした。

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