「不可蝕民」山際素男著 光文社
ラリグランスクラブでは、ネパールのダリット(不可蝕民)の人々の支援をしているので、ダリットのことをもっと知りたいと思って読みました。
不可蝕民(ダリット)というのは、ヒンズー教で決められている4段階のカースト(身分制度)ブラーミン(僧)、クシャトリア(戦士)、バイシャ(商人)、シュードラ(農民)にも入れない人々(肉体動労、屍体処理、排泄処理)のことを言います。
日本でも江戸時代に作られた身分制度の士農工商というのがあり、そこにも入れないエタ、非人という虐げられた人々がいましたが、同じような仕組みのようです。
現代ではインドもネパールも日本も一応憲法で人権が保証されるようになり身分制度はあってはならないことになってはいるものの、差別感を払拭されるところまではいっていないようです。
特にインドでの不可蝕民にたいする人間差別、想像を絶する理不尽な拷問、虐待、殺戮は、1970年頃まで続き、今でも連綿と続いているということです。
著者は不可蝕民の人々が置かれてきた、置かれている現状を、ダリットの村を直接訪ね話を聞いてルポに纏められました。
ダリットに対する人々の暴力のリアルな著述には、背筋に寒気が走り吐き気を覚え目をそらせてしまいました。
世界の人々から崇められているマハトマ・ガンジーさえ、ヒンズー教の信仰から自身の高位カーストから離れられず、インド憲法の中に不可蝕民制度の廃止を折り込みはしたが、現実は、ヒンズー教が温存されている以上差別はなくなっていません。
ネパールでの不可蝕民への差別がどれほど酷いものであったか酷いものであるのか私にはあまりの恐ろしさで実感出来ていないのですが、ダリットの人々への教育支援は間違いなく必要なものなので、勉強しながら続けていかなくては、、、と決意しました。
ネパールのダリットのことについて、モティ・ギミレさんが、ラリグランスホームページ( http://laligurans.com )の通信31号でレポートしていますので、併せて読んでほしいと思いました。
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