「猫を抱いて象と泳ぐ」 小川洋子著
久しぶりの小川洋子です。
以前から気になっていた「猫を抱いて象と泳ぐ」を読みました。
今回の小川洋子ワールドはチェスの世界。
「博士の愛した数式」では数字の不思議、数式の美しさを、少年と数学博士との友情のなかに編みこまれた絶品でしたが、今度は、チェスゲームの展開を、唇が閉じたまま生まれたというハンディをもつ少年により、大海の水面にゆったり揺らぐメロディを奏でるように棋譜の美しさが描かれ、読者はチェスの世界に引き込まれます。
その世界は紛れもなく小川洋子ワールドで、とても自然なのに現実には在りえないシュールの世界が魅惑的に広がります。
著者の描く訳ありの少年少女達は、どうしてこうも無垢で魅力があるのか!
どの著作を読んでも心が洗われます。
そこが村上春樹のえがくシュールの世界と違います。
ずっと忙しい毎日が続く中で久々に現実から離れた静寂な世界で遊ばせてもらえました。
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メタ情報
昨年の春にこの本を読んだ事がきっかけで小川洋子ワールドにハマりました。http://www.michiko-oota.com/mt/archives/2009/04/post-135.html.
今は短編集、「夜明けの縁をさ迷う人々」を読んでいます。小川洋子作品、好きなのはいっぱいありますが受賞作の「妊娠カレンダー」には個人的な思い出も重なって心に残っています。
これも短編集ですが「偶然の祝福」はいつもバッグに入っていて、四つ葉のクローバーを見つけると、この本に挟んでいます。この短編集の中の「涙腺水晶結石症」は傑作だと思う。
路子様。コメントをありがとうございました。
ほんと、小川洋子ワールドは素晴らしいものを与えてくれますね。私も大好きです。
「夜明けの・・・」と「偶然の祝福」は読んでいませんので早速取り寄せてみます。
題名からも期待できます。
「妊娠カレンダー」は私には私とはぜんぜん性格の違う姉がいますので重なる部分があって、面白く読みました。
彼女の<物言わぬ人の心の内面>の捉え方にいつも感動させられます。
猫を抱いて象と泳ぐ
ちょっと変わったタイトルのこの本。先月下旬に私に届きました。…