「天命」 五木寛之 著
私は、「人事を尽くして天命を待つ」という言葉を、昔から座右の銘にしている。
人事を尽くして努力した結果は、天命なのだから喜んで受け入れるという生き方である。
たとえば息子たちの受験のときも何度もその言葉を使ったものだ。
バザーの売れ上げ結果が多いときは勿論少なくても天命と思い感謝して受けいれる。
客観的に見て結果が悪くてもがっかりはするが後悔しないので、夫に言わせると何事にも反省がなく向上心に欠けるそうである。
<人事を尽くす>といっても、他人から見ると、とても人事を尽くしているようには見えないこともあるようで人をいらだたせることも多々あるが、それは仕方がない。私にはそれだけの技量しかないのである。人の期待に添えなくても仕方がないと諦めが早い。
さて、五木寛之の「天命」の視点は、私の捉え方とは同じようでもあり少し違うような感じもしました。彼によると、天命は目に見えない天(神)の絶対的な意志のようなもので、天命を自分の心の中に置きながら生きるというように使っています。
天命(神仏が示す使命)を深く探りながら生きることを願う五木寛之と、良心に従って生きればそれが天命と安易に信じる私の相違を感じました。
その違いは、戦争中、国のために命を捧げる事が天命と強制的に押し付けられた経験があるか無しかの違いからくるかな思いました。
宗教的感覚(目に見えない世界があるという感覚)が現代求められているということを真摯に告げている深い書物でした。
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