「曙光を旅する」 葉室麟 著
前回紹介した「蛍草」へコメントくださったS氏の紹介で「曙光を旅する」を購入しました。
曙光・・①夜明けのひかり ②暗黒の中にわずかにあらわれはじめる明るいきざし(広辞苑)
と本の初めに説明されていて、まず「曙光」の意味を頭にインプットしてから読み始めました。
近代の日本に導いた源になる、幕末・明治維新からの歴史上の人物、彼らは最初から輝いていていた人ではなく彼ら自身が生まれ生活する中での時代の動きを鋭くつかみ、暗闇に曙光を放した人々のこと、その地、を訪ねた歴史紀行集です。
葉室がその足跡を訪ねたところは、坂本龍馬にゆかりのある京都以外は九州です。
私は夫の仕事の関係で、九州には13年住んでいました。その間持ち前の好奇心から九州の由緒あるところを訪ね歩いたので、なんと葉室麟が訪ねた場所を全部行ったことがあるのです。
キリシタンが関係する長崎や大友宗麟の大分などはカトリック信徒なので当時感慨深く見学しましたが、あとのところは本当に恥ずかしながら、その地に深く込められた歴史的事実には全く興味が沸かず、風光明媚な自然だけに目が行きそれを楽しんでいただけでした。
でも、この紀行エッセイは一つ一つ短いものですが、その地に宿る深い歴史を気づかせてくれ、その地の情景を思い起こしながら合点し深く感動しながら読みました。
国の発展を導く根源は曙光から始まり、その曙光を見逃してはいけないと、現在混乱する世界情勢のなか、世界少なくとも日本を動かす偉い人たちにはもっと本質を洞察してほしいと思いました。
それと蛇足ですが、葉室麟さんは福岡の西南学院大学出身で、先日銃弾で亡くなった尊敬する中村哲さんも西南学院中高卒、私の息子も3年間西南学院で学んだので凄く嬉しくなりました。