「世にも珍妙な物語集」清水義範著
日常生活で「ちょっと変だな」とチラッと思うことはあっても、「まあ、そんなもんだろう」と深く考えず私達は生きている。
そこを清水先生は人が何気なく見過ごしてきた習慣に目をつけ、お得意のユーモアで綴った13の短編集である。どれも愉快だったけれど中でも私が気に入ったのは次の4篇です。
* 「ドーラビーラ物見遊山ツアー」・・時は縄文時代の中期。青森県三内丸山に存在した巨大集落で生活しているミミアテとウナシロのインドへの珍妙な旅日誌。
* 「トイレット・シンドローム」・・海外旅行ツアーに行ってもトイレ時間が気になって見学もそぞろになる珍妙な現象。
* 「接客セブンティーズ」・・近い将来、接待業も老人が担うようになった時の騒動。
* 「算数の呪い」・・小学校6年の息子と父親が‘つるかめ算’に取り組んでいる。息子が言う「変だよ。理屈が通ってないよ。だってさ、つるとかめがいる時に、どっちが何匹いるかって数えないで、全部で何匹いるかって数える人っている?それに足の数を数えるっていっても鶴って1本足で立っているときもあるし亀は足を全部甲羅に隠している時もあるよ」
てな調子で、算数の問題がいかに現実から離れた珍妙な問い掛けをしているかが次々と出てくる。
他の9篇も、著者独特の名古屋人的センスで意表をつき、納得させられ笑わせられました。
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