ぱリのおばあさんの物語

パリのおばあさんの物語  スージー・モルゲンステルヌ著 セルジュ・ブロック絵 岸恵子訳
友人が、「読んで、感想を聞かせて」と言って、この本を置いていった。
この歳になると、<生→老→病→死>に至る人間の一生について、友達仲間で、話し合うことが多くなってきた。
このパリのおばあさんの日常は、将来、私が想像する自分のおばあさんの姿そのままだから、友人が本を渡しながら、ニヤリと笑っていた訳がわかった。
・・・・・・・
   おばあさんは小さなアパルトマンに独り暮らしです。
   おじいさんに先立たれてひとりぼっち。
   子供はいるけど一人ぼっち。
   昔はずいぶんたくさん本を読んだのよ。
   でも もう駄目。眼がとても疲れるの
   縫い物にも刺繍にも精を出したものだわ。
   でも もう気力はありません。
   おばあさんは、薬を飲むのを忘れます。
   記憶が薄れるだけでなく、物忘れがひどいのです。
   だから、お誕生日だっておぼえてないの。
   でも、雪が降ったことは覚えてる、、。
・・・・・・・・・
おばあさんは、そんな生活を悲しんではいません。淡々と受け入れて楽しんでさえいます。悲惨なところは微塵もありません。
私もそんなようになる予感はあるけれど、そうあらまほしいと思うけれど、パリのおばあさんのようになり得ないだろう所が一ヶ所あります。
・・・・・・
   おばあさんは鏡をのぞきます。
   「なんて美しいの」とつぶやきます。
   顔はたくさんの歴史を物語っているのですもの。
   眼の周りには楽しく笑い興じたしわ。
   口の周りには歯をくいしばって悲しみに耐えた無数のしわ。
   しわ、しわ、しわ、いとおしいしわ。
・・・・・
ここまで老いを受け入れられればどんなに幸せかなと思うけれど、、、。
顔に表れるしわが、美しいと思えるしわになるには、精一杯生きて、悔いのない生活を営むことが必須条件だろうし、それが私にはまだまだ足りないなあと、顔に乳液を延ばしながら思わされたのでした。

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