凍 沢木耕太郎 著
世界最高峰のエヴェレストと第6位の高さを持つチョー・オユーとの間に位置するというギャチュンカン(7953m)に挑んだ世界的クライマー山野井泰史・妙子夫妻による、壮絶な登攀記録小説(ドキュメント)です。
挑戦したのがこの二人でなければ、遭難死したに違いない過酷な登攀の記録であります。
この登攀で山野井氏は凍傷で右足の指全部と手の指6本、妙子は以前のマカルー登攀で失った指に加え左足の小指と薬指以外は両手足の指全部失いました。
夫妻はそれでもクライマーとしての人生を歩み続けることになります。
その情熱はなんなんでしょう?「どうしてそんな危険を冒して山に登るのですか?」という問いに「そこに山があるからだ」と答えるのがクライマーと昔から言われていますが、本当にそう。それと「ただよじ登るのが好きだから」ということに尽きるみたい。
ここまで好きなことには頑張ることが出来る人間がいるんだと、ただただ驚き深い感動をおぼえました。それも生きるか死ぬかの冒険を夫婦でぴったり呼吸を合わせ味わい戦えるなんて夫婦愛の極限でしょう。
沢木耕太郎氏のその見事な記述たるや、読者は登攀中ずっとその二人の傍に立ち息遣いまで感じるほどのリアルさで、はらはらドキドキ、高山による呼吸困難になるほどのものでした。
これを書くのに、沢木耕太郎氏はどれだけのインタヴューを繰り返されたのでしょうか。驚嘆するばかりであります。
ギャチュンカンはチベット側にあり彼らは車でネパールからチベットに入りそこから登攀するのですが、ネパールとチベット(中国)の国境に架かる友誼橋は、去年私は行ったのですよ!
そのアプローチからして身近に感じ、数倍楽しめました。
写真は去年訪れた友誼橋のある国境。正面はギャチュンカンではないでしょうがヒマラヤです。本には写真が載ってなくて残念。せめてこの1枚が想像の手助けになればいいかと、、。
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