「深い河」遠藤周作著 講談社
ラリグランスクラブでは視覚障害者のためにLSG(学生寮)を計画中で、そのために本年度は資金集めのためのバザーを本腰入れて頑張ろうと思っています。
事始にお隣のガレージを借りてのガレージセールをしようと思っていますが、今年はネパール民芸品のほかに古本を置いてみようかなと考えました。
「私の本棚」で公開している様に読書が趣味の私のところにはどっさり本があるのです。
さてと、昔読んだ本から整理しようとまず目に入ったのが「深い河」。
著者の遠藤周作氏は終生、ヨーロッパのキリスト教と日本のキリスト教の違いにこだわり、全ての作品の根底にはそのことが埋もれていると言って良いと思います。
私も遠藤氏と同じく親から押し付けられたカトリック信徒で、彼の気持ちがよく分かり彼の著作はよく読んでいます。
「深い河」は、<遠藤周作7年ぶりの純文学書下ろし長篇小説、渾身の作>という評判を聞き、これは読まなくてはと、直ぐに買って読みました。1993年のことです。
でも読後感は、「ああ、いつもと同じテーマだな」と思いあまり感動しなかった記憶があります。
それで今、18年ぶりに「深い河」を手にした私はもう一度読み始めました。
話の細かいところは殆ど全て忘れていて、「え~っ?これは面白い!」と、ぐいぐいと引きつけられ一気に読みました。
確かにテーマは同じです。遠藤氏の、日本人としてのキリスト教を正面から捉え語る死生観、とことん弱い者蔑まれた者の側に立つイエス像が、直接文中に書かれてはいないのですが全体をすっぽり覆っているのです。。
私の最初と今の感動の違いは一体なんなのか?
考えてみると私自身、その本を読んだ時はけっこう呑気な専業主婦で人生の機微に鈍感だったと思います。そして2年後の思いがけない阪神淡路大震災。そこからガラッと私の生き方が変わったようです。
これからは自分の家族のことだけを考えるのではなく、生きとし生けるもののことを考える生き方をしなくちゃいけない、否、しなくちゃいけないじゃなく、する時が来たんだと、もりもりと力が出てきたのを思い出します。それが今のネパール支援活動に繋がっているのです。
だから18年前に読んで感動しなかった「深い河」が、今、凄いインパクトで私の中に入ってきたのです。
そうです。私は18年間で成長したんですよ。
物語は色んな人生を歩んできた7人の男女が、インドのガンジス河の火葬場を訪れて影響を受けるお話です。
物乞いする子ども、妖しげなヒンズー教の神々、淀んだ空気、灰色の浮遊物がただよう母なるガンジス、輪廻転生を信じる人々。今の私にはどれもイメージ出来る。
整理しようと手にした1冊目の本からもう手は止まり、この調子では、いつまでたっても本の整理は出来ないと、出るは嬉しいため息でした。
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